ワクワク紀行その4

日本人は仕事への熱意を失ってしまったのか(2)

6月の記録的な猛暑の中で、銀座のデパートの駐車場係の方達はきびきびと働いていました。60代か70代、背筋が凛としていてお客様への気配りもさすが。誰一人としてだらけた姿勢を見せる人はいません。一方で日経の記事によると、シニア人材(おそらく50歳以上の会社員のこと)の活用・活性化に課題を感じている企業は5割にのぼり、モチベーションの低さを指摘する声が最多とのこと(パーソル総研2020年調査)。ネット上では「働かないおじさん」と言われているらしい。本人が悪いのか、会社が悪いのか…、しかしそれを言ってもはじまりません。

私の肌感覚で言わせて頂くと、研修やコーチング面談でお会いする中高年の方々には素晴らしい人が多く、経験、知力、人格などはたいしたものです。その方々がモチベーションを下げていくとしたら何が起こるのか…。まず考えられるのは自分の持ち味が生かされない状況に陥ることではないか。大切なことは、自分の持ち味を自覚することと、周囲にわからせるための自己表現ではないか。

キャリアを考える研修ではときどきやるのですが、自分のビジネスパーソンとしての過去を振り返って、経験や実績から自分のポータブルスキル(専門知識やスキルなど)をなるべく具体的に棚卸ししてみます。書き出すことで自分のパワーを思い出します。古い経験に意味はないなんてことはありません。自分の根源的な強みが経験によって培われてきたはずです。これまでを振り返って自分の能力を整理することも、一つの「学び直し」ではないでしょうか。

デパートの駐車場係方々はどんな経験をしてきたのだろうと思いました。おそらく、長く企業にいて身に付けた職務に対する責任感と、顧客コミュニケーション能力。そしてチームで協働するための呼吸、つまり組織というものを熟知していること。そんな気がしました。

鳥居勝幸

≪Release Date 2022/07/02≫