ワクワク紀行その3

日本人は仕事への熱意を失ってしまったのか…

GWも後半になるとふとした瞬間に「来週からまた仕事だな」と思ってしまいます。ところで日本のエンゲージメント指数(仕事に対する熱意を示す指数)は139カ国中132位とのことです(米ギャラップ社)。「こんなはずではなかったんだけど…」と思うのは私だけでしょうか。データは受け入れるしかありません。しかしこの実態はいったい何でしょう。

ここからは私の勝手な考えです。海外のビジネスパーソンは、「頑張って働いて、会社や上司に能力を認められて、タイトルや収入を上げていって、あるいはもっといい条件の会社に転職して、家族で豊かな生活をするんだ」という、素直でシンプルな感情で働いている人が多いのではないか。言うならば自分のためのエンゲージメントが高いのではないでしょうか。一方、日本のビジネスパーソンは、自分中心の欲求を持つことが集団の中では何となく憚られ、実際に収入がさほど増えない環境に長年おかれ、それもデフレだから仕方がないと半ば諦めてきました。その代わりに、会社の仕事とは単に金銭目的ではなく社会的意義があるものなのだと教育されてきました。人々は努力と収入の相関がわからない中で、仕事の意味や意義に救いを求めてきたのではないか。だから、日本人にとって仕事とは、自分や家族のために情熱を注ぐものというよりも、会社や組織のために奉仕するものというイメージが強い。会社のためにと考えることはできても、「自分のために」と考えを変えることがなかなかできません。

しかし昨今、不確実性の高い環境でその会社もあてにできなくなってきました。「自分のキャリアは自分で考えてください」というのが先進的な企業のメッセージです。多様な価値観が尊重される時代になってきたのはいいことだと思いますが、価値観といってもどこに軸足を置いたらいいのかがわからない。このあたりがエンゲージメント指数を下げてしまった背景、つまり“迷い”の表れではないでしょうか。単に仕事への情熱や関心が失せたのではないような気がします。そうでなければ世界に認められる品質や高いサービスレベルが実現するとは思えません。

ではどう考えたらいいのでしょう。私はもっと自由な精神で働いてもいいのではないかと思います。(続く)

鳥居勝幸

≪Release Date 2022/05/07≫